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7歳の時、風邪をこじらせて死神を見た。
頭と全身の関節が痛くて泣き叫び、
死にたくない、それだけを望んだ。
熱が冷めるとふわっとした温かみを感じ、眠気と共に体が楽になる。
この時身体に染み付いた苦痛と快感の流れが私を形作った。
それまでの自分は、ドラマや映画の中の人を見ている様で、もうそこに感情は無い。
元の自分に寄生して、苦痛と快感の流れを望む醜い私は、トラウマと歪な学校生活の日々で既に自分が壊れていると言う事を理解していなかった。
中学
躁鬱の振れ幅が自由だと履き違える自分を更に狂わせた思春期の波。
溜まり続ける宿題両親への言い訳と嘘。
逃げの精神は、理性こそ悪の元凶であると自覚し動物的本能を強めた。
夢の中では、森をよく見ると同時に度重なる殺しの記憶。
動物的本能は幻聴や幻覚を多発させ、夢と現実の区別を曖昧にした。
夢の中、自分の家に住む他人、朝起きると見えるゴキブリや蜂の幻覚。
そして自分は又壊れた。
私は望んでいた、壊れる度に増える自己寄生を、人生のリセットを。
高校
それから私は変わった。
自転車通学とそこまで難しく無いテスト。
想像もしなかったオール3の通知表。
その変化が。
明確に、自分は私では無いと、やっと楽に楽しく生きられるんだと。
だけど遅すぎた。
精神的なリセットを繰り返し、その記憶を学ぶ中で感じる深い闇の一面。
その闇に侵食されて、癖になる嘘、楽に生きる為の醜い思考。
自分の人生の全てが、忘れる事なんて出来ないと私に理解させる。
このままじゃいけない。
又壊れる、その恐怖、逃げがきっかけで、本を読み漁る様になった。
本は他人の人生を描く、その考え、その根本を理解して私の物にする。
そうする事で自分の醜い過去から逃げた。
そして私は信念を失った。
本の内容、それが私であると、当然の様に寄生をして。
読む度に変わる人格は、壊れ続けた自分。
本と共に手にした何にでもなれる万能感は同時に、沢山の人格を過去の物にした。
そうして長い時間の中、私は生まれた。
高校生活は、結果として変化に富んだ経験の日々の始まりになった。
これからも新しい私は生まれる。